2002年、スイスのロシュ社との戦略的アライアンスを締結し、合併によるシナジー効果により一挙に売り上げで業界トップクラスへと躍進した中外製薬。独自性を保ちながら、ロシュグループのネットワークを活かし、海外展開の強化、製品の拡充、研究開発の強化を進めています。急速な業績の拡大にともない、急がれるのがマネジメント人財の早期戦力化。「マインドセットチェンジ」に重点を置いた人財育成の要諦を、人財開発部長 熊谷文男氏にお伺いします。
![]() 中外製薬株式会社 企業プロフィール 創業: 1925年3月 |
| <<事業概要>> 1970年代からバイオ医薬の研究開発に取り組み、80年代には遺伝子工学技術の確立に努め、「バイオの中外」として日本の製薬業界をリードしている。また、がん領域における創薬開発でのリーディングカンパニーでもある。2002年、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッド(本社スイス)との戦略的アライアンスを締結し、営業・コスト・研究開発の基盤を強化。 抗インフルエンザウィルス薬「タミフル」や抗体医薬の抗リウマチ薬「アクテムラ」など、数多くの医薬品を提供し、グローバルな事業展開でも成果をあげている。 |
―2009年上半期連結決算で、売上高1917億円(前年同期比31.4%増)、営業利益372億円(同61.0%増)、経常利益435億円(同79.0%増)と、大幅な増収増益を果たしています。
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当社は日本の製薬企業の中で、開発品の数が最も多く、上位企業の倍以上の数を開発、申請しています。これが、承認、発売まで順調に進んだ結果が、今期の数字となって表れています。今期の目標、連結売上4000億円もおかげさまで達成できそうです。
2002年10月、ロシュとの合併によりドラスティックな変化がありました。企業ミッションに、"革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献する"を掲げ、国内外において革新的な新薬を継続的に提供する日本のトップ製薬企業を目指して新たな活動を開始しました。
合併時点では、中外製薬は業界10位前後でした。それが合併した途端、営業活動やコストに関わるシナジー効果によって業界3~4位へと飛躍的にアップしたのです。ロシュ製品のタミフル効果で、瞬間的には1位にもなりました。これまでは雲の上にあった会社が、いまや手を伸ばせば届くところにまで近づいています。事業の拡大にともない、新入社員採用数も大幅に増やしました。この5年で、約1500名の新規採用を行っています。これはグループ全体の従業員の2割以上に該当します。
―中期目標「Sunrise 2012」では、「世界に通用する日本のトップ製薬企業」になることを目標に掲げています。
連結売上高4600億円、営業利益800億円、営業利益率17.4%を達成し、トップ製薬企業となる。これを2012年までに実現します。そのためには、まずマインドセットのチェンジが必要です。それまでの"いかにトップとのギャップを埋めるか"というマインドセットから、"トップランナーとして、どのようにあるべきか"という意識への変換をはからなければなりません。また、業績面だけではなく、社会貢献といったトップ企業として果たすべき役割もきちんと考えられる人財を育てなくてはならない。人財開発においては、以前のボトムアップ型育成から、将来のコア人財を選抜し、集中的に早期教育を行い、それらの人財を核として、全社員の質の向上を図っていくという方向に大きく転換しました。
もうひとつ、大きく変えたことがあります。営業の経験者だけではなく研究開発の経験者が人財開発を行うことにしたのです。専門性の高い部門では、ラインの経験者でなければ理解・判断できないことが多い。人財育成においても同じです。そこで過去にR&D部門で実際に研究に従事した、あるいはプロジェクトなどを運営した、現場に強い、専門知識を持った人間が教育研修に携わるべきだということになったのです。