
TVのコマーシャルの映像からも見て取れるように、いち早く事業運営のグローバル展開を推進している日本たばこ産業株式会社。
たばこ広告の禁止や路上喫煙防止条例等、たばこ業界には厳しい規制が課せられる中、視点の変換や、人材育成の強化に取り組み、変化をバネに事業展開を行なっている。
常に前へと力強く進む日本たばこ産業株式会社において、組織の財産とも言える人財をどのような信念のもと、育成に取り組んでいるのか。たばこ事業本部マーケティング&セールスサポート部に所属する次長 浪打俊哉氏にお伺いします。
―日本たばこ産業株式会社(以下JT)の中での、浪打さんの役割を教えてください。
たばこ事業本部の「マーケティング&セールス」というバリューチェーンの川上と川下を担う部門の人事チームに所属し、部門内の人事を担当しています。JTではコーポレート人事部に加え、事業部門ごとに人事担当部署があります。私の役割は、マーケティング&セールス部門における人事戦略の策定や仕組みの構築とそれを実行していく現場のキーポジションへの落とし込みです。また、戦略的人財配置にも携わっています。昨年の7月に現在の営業体制がスタートしましたが、その際、強化すべき点として「営業力」「人財育成力」の2点が上がり、研修チームとともに研修システムの改革に着手し、現在も継続して取り組んでいるところです。
―マーケティング&セールス部門における「営業力」「人財育成力」の課題とは?
たばこの健康被害懸念、喫煙にまつわる規制強化、たばこ税の増税などによって喫煙を取り巻く環境が大きく変わってきています。さらに、Taspoシステムの導入でお客様の購買行動が変わり、それに伴って売り場環境も変わり、我々の営業体制、営業手法も変化へのスピーディーな対応が求められています。過去はたばこ小売店や自動販売機といったBtoCが主要な販路でしたが、コンビニエンスストアを中心としたBtoBが主流となりつつある現在は、「売り場を科学する」「営業を科学する」ということをきちんとやっていかなければなりません。
これまでは、入社してからの約3年間に限って言えば、当社の人財育成は本社での研修も含め非常に手厚く行われていました。しかし4年目になり自分の担当エリアをひとりで回るようになると、一人前の営業マンに育ったと見なされ、「あとは日々のOJTの中で成長しなさい」と、よくも悪くも人財育成においては放任主義の状態だったのです。
このように、本来は市場に対応した営業スキルをその都度確認し、付与すべきところを、実際には現場のOJTに任せきりになっていました。「人と人とのつきあい」という、極端に言えば昔の営業スタイルでOJTが成し遂げられてきた結果、現在望まれる営業スタイルとの間に多少の齟齬が出てきています。
では、その次にいつ研修を受けるのかと言えば、長い空白期間があり、いきなりマネジメント研修です。つまり、組織として研修を体系立てて構築し、その時々に応じて必要な知識・スキルを継続的に付与していくということがマーケティング&セールス部門では行われていなかったのです。
その反省を踏まえ、昨年7月に新体制を導入する際、事業戦略に基づいて人財育成・研修体系を整備するよう当時のトップが号令をかけました。「ひとりの人財育成にかける費用をいまの十倍にしろ」。これは当時のトップの言葉です。それだけ人財育成が緊急課題だったのです。