2008年、新しく The Chief Innovation Officer というポジションが誕生した。
このポジションは、企業が市場標準を超え、成長率を継続し続ける軸となるであろう。
顧客、サプライヤー、その他のステークホルダーから出てきたアイディアを管理する
任務を負うのは誰なのだろうか?
プロセスのイノベーションやビジネスモデルのイノベーションへの取り組みをリードする
のは誰なのだろうか...?それは、Chief Innovation Officer(CIO)である。
このことからいくつかの疑問がわく。誰が顧客、サプライヤー、その他のステークホルダーから出てきたアイディアを管理する任務を負うのか?誰がプロセスのイノベーションやビジネスモデルのイノベーションへの取り組みをリードするのか?
この疑問への回答は、"Chief Innovation Officer"というポジションを置くことで説明がつく。
The
Chief Innovation Officer
世界中の企業の多くがCIO(Chief
Innovation Officer)の任務を、成長と売り上げ創出プロセスの管理であるとしており、このC-suite(Chief
Executive Officer, Chief Financial Officerなどの統括責任者達)という職務は過去5年間、特にこの18ヶ月ではより広く現れてきている。
Coca-Cola、 Intuit、ADM、Cargill、 Humana、 Kimberly-Clerk、 Citi Groupなどの企業はCIOの職の役割を明確にし、発展させている。これら企業ではCIOを設けることにより、イノベーションが企業にとって重要な事項であり、成長を促進するエンジンであることを組織に明確なメッセージとして伝えている。
待ち受けているチャレンジ
多くのCEOにとって成長は最重要課題である中で、株主に対して平均以上の利益(報酬)を長期的にあたえる事は、常に得がたいことである。
フォービスは70周年の記念として米国における大企業を対象とした「フォービス 100」リストを作り、1917年当時のそれと比較をしたところ、興味深いことに1987年までの間、トップ100社に残っていたのは18社だけであり、61社は既に存在をしておらず、21社はトップ100社のリストに入ることが出来なかった。また、トップ100に残った18社が株主に対して提供した長期的利益(報酬)の平均は、他の市場平均より20%低かった。GEとコダックの2社のみが市場全体よりも良いパフォーマンスを残していたが、コダックは1987年以降業績が著しく悪化している。
S&P 500によると1957-1998年の間、74社だけが上位500社のリストに残り、そのうちの12社がS&Pインデックスよりも良いパフォーマンスを出していた。
これらの分析や情報からも、長期的に成長率を維持し続けることは難しいということが証明できるであろう。
The
Ambidextrous Paradox (両利きの逆理)
アップル、グーグル、マイクロソフト、トヨタ、GE、 P&G、3Mなどは「両利きの逆理」をうまく管理している企業である。これらの企業は経営効率の良さと顧客からの信頼の高さで知られている一方で、"不連続"を作ることによっても成功を収めている。
アップルは「Easy-to -use(使いやすさ)」とエレガントなデザインを謳ったデスクトップやノート型PCの評判を維持することに精進する一方で、iPod、
iTunes、 iPhoneにつながる新たなビジネスを交わすことに忙しい。様々なシナリオの中で"不連続"を生み出すということは、既存のビジネスを断念したり、既存製品やサービスを転換利用して顧客に提供することを意味している。
企業成長戦略の構築
では、CIOは企業の成長と売り上げを上げるために何をすれば良いのだろうか?
こうした難問への特効薬などなく、イノベーションと成長プロセスの鍵となる"変化"を過去10年間から見たとき、CIOの助けるとなるものを見つけることができる。それは、
1. 両利きの達人になること:企業の多くは、競合他社よりも優れたパフォーマンスを上げるために2つのことを行っており、 ①現在のパフォーマンスを向上させること ②将来に向けてビジネスを創出すること、である。そして、こうした活動の副産物として3つ目の活動の"過去の選抜(selectively abandon the past)"につながっている。しかしながら、ほとんどの企業がこうした鍵となる活動をバランス良く行うことに苦労しているのである。アップル、グーグル、マイクロソフト、トヨタ、GE、P&G、 3Mなどの両利きの企業だけがパフォーマンスを上げながら同時に実行可能な将来の策定もできるのである。
2. イノベーションのポートフォリオを管理する:イノベーションとその企画は企業が自然に成長を遂げるための鍵となる。イノベーションの目的は顧客に新たな価値を提供することで、これには新製品や改良品、新たなビジネスモデルのほか、表には見えてこないプロセスも含まれる。我々が提供する製品やサービスを通して顧客がこれまで以上の成果を上げることができた場合、これは製品やサービスのイノベーションだと言える。たとえば携帯電話は、地上の回線がない遠隔地とのコミュニケーションを可能にした製品イノベーションである。
プロセスのイノベーションとは裏舞台のオペレーションに新しい価値を築くことである。例えばFedexはインターネットを介して荷物の所在地が確認できるシステムを作ったが、これはプロセスのイノベーションである。
ビジネスモデルのイノベーションは、過去のビジネスの手法を変えることによって、より良い価値を生み出すことである。ウォルマートは、ロジスティックスとサプライチェーンのビジネスモデルイノベーションとしてよく知られている。
3. 協力とチームワークの促進
企業が自然発生的な成長を遂げるための鍵は、欠点がなく、素早く業務を遂行する能力のあるイノベーションチームを設立し、高いパフォーマンスとコラボレーションを生み出すためにそのチームを管理することである。理想的なチームは、様々な問題解決スタイルを持つ人によって構成される。
4. イノベーションの為の企業文化と風土の促進
成長を促進する責任を担う組織は、成功を探求し、リスクを恐れず、起業家的な努力を可能するための柔軟なシステムと構造でなければならない。イノベーションを進展させるのはリスクを計算し、協力と信頼のある組織風土である。そのような風土は社員を失敗から学ばさせる(彼らを罰則するのではなく)ことができ、より早い実行とより機敏な組織構造を作ることに繋がる。
W.L.Goreは、その高い成長率とイノベーションでよく知られている企業である。その組織文化と組織構造は階級組織から程遠く、社内における職位とタイトルが少ないことにより、フィルターのかからない直接的なコミュニケーションを促進している。社員が自身のアイディアをプレッシャーなく自由に言い、自己の意志とモチベーション次第で協力やコミュニケーションを取るようになるかどうかは、組織文化によるところが大きい。
5. 保護と進化をリードする
組織には、短期的維持を目的とした活動をする部署もあれば、成長を目的とした新しい活動の特定と展開に忙しい部署もある。CIOはこうしたタイプの異なる課題とニーズを管理し、応じなければならない難しい役どころである:例えば既存するシステム、製品、プロセス、サービスを完璧なものにしようとする仕事がある一方で、これらの製品やサービスをより良いものとするために流用、または解体することもあるということだ。
CIOの役割は、この両方の各々の活動を利用し、共有し、整合性を取るよう精査することである。CIOは正反対の性質を持つ活動を行っているチームのメンバーに自信を持たせ、動機づけをし、報酬を与えることを考えなければならない。異なる種類のチームメンバーを持ち、難しい決定をしなければならないことは非常に稀ではあるが、保護と進化という逆理を管理するためには必要なコンピテンシーである。
成長に向けたCEOのビジョンを支援する
企業全体の成長と健康状態を保つことがCEOの責任だとすれば、CEOのビジョンが順調に進むことを支援するのがCIOの役割である。
相反する企業活動のバランス保ち、長期的にも短期的にも成長する企業風土を設立し、促進することを通して、CIOは企業の成長を保証するピースを選んでいくのである。
Phil Samuel, PH.D. is the chief innovation officer of Breakthrough Management Group, a management consulting firm specializing in performance excellence and innovation.
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