多様な世代が交じった職場環境を管理する方法

米国の労働統計局と雇用政策財団によれば、これから10年の間で約10万人の労働者が不足し、米国の労働市場は優秀な人材の奪い合いに突入するという。
フォーチュン500に選ばれている150社に行った最近の調査では、向こう5年にエクゼクティブ(経営幹部)の概ね33%が入れ替わると見られ、そのうち3分の1の企業では適任者を見つけることが難しいと言われている。

この問題に取り組むために、組織の多くは若い優秀な人材のリクルーティングと保持を第一と考え、Generation X、Generation Y (文末に詳細表記)に注目が集まっている。そして、世代を超えた人材の採用によって、職場(現場)ではトラデショナリスト、ベビーブーマー世代、Generation X、Generation Yというそれぞれの特性と信念をもった4世代のマネジメントが必要とされるようになってくるのである。大量なシニアリーダー達の退職へ向けて、組織は急速に若年層を新しいリーダーに育成し、穴を埋める必要性に迫られている。しかし、今まで行われていたリーダーシップ開発のテクニックは世代のミックスした現在の組織に適合する柔軟性がない場合が多いのである。

この競争に勝ち残るために企業はリーダーシップ開発の管理と進行方法を再考し、高い潜在能力を引き出す方法を見つけ出さなければいけない。


次世代リーダーの育成

退職することを考え始めているトップリーダー達は、想定される人材不足に備えて適切な後任者を見つける必要がある。多くの会社では一般的に従業員の現職務だけに焦点を置きがちであるが、これは結果として従業員が現在の職務以外の能力を伸ばす機会のみならず、従業員と組織の両方に有益となるキーコンピテンシーの開発を妨げることになる。若いうちからのリーダーシップ能力の開発や後継者育成には、こうした現象に変化を起こし、シニアマネジメントやCレベルリーダーを早急に育成するための厳密な方法が重要となる。

会社は、高いパフォーマンスを発揮しているジュニアレベルの従業員は昇格後に必要となる新しいスキルをおのずと習得すると思いがちであるが、そうではない。どんなに優秀な社員であっても、たとえば、直属の部下同士の意見の食い違いを仲介する方法を最初からわかっているわけではない。シニアマネジメントは、リーダーシップコンピテンシーに基づいて部下の能力を評価をし、リーダーに必要となるソフトスキル(例えば、フィードバックをする方法) を育成するなど、リーダーシップ能力が身に付けられるように手助けをするべきである。高いパフォーマンスを発揮する従業員の多くは、素晴らしい経歴と学校教育を受けてはいるが、リーダーシップスキルを身に付ける機会は持っていないことが多い。

こうした能力開発をするためには、メンタリング、コーチング、人事評価、問題解決、など一連のトレーニングシリーズに参加して、マネジャーが自信を持って仕事で貢献できるようになるまで、これを続ける必要がある。ある企業では10~12人ほどの部門リーダーと同人数の若手社員を集め、"Speed dating"(短時間のデート)のようにして10~15分の面会セッションを設けた。こうした機会は、若い従業員がシニアリーダーや将来そうした可能性を秘めたリーダーとネットワークを築くことを広げるのに役立つのである。

雇用と再雇用
以前、企業は「長期雇用」を前提としていたが、今の若い世代にはその雇用形態は適合していない。Generation XとY世代の従業員は、数年で転職する傾向があり、特に自分が重要な任務を担っている、企業と互いに結びついている、現在の仕事にやりがいがある、などと感じていなければ、なおさら長い間働き続ける可能性は低い。

若い従業員が辞めようとしている姿を見かけた時には、大学が学生にするように、もっとその従業員との関係を深めるべきである。ある企業では、家族に企業の熱烈なファンになってもらうよう両親をインタビューに巻き込んだり、「両親の日」を設けたり、仲間同士の交流の場や退職した人との関係を維持できる「同窓会」を設けている。こうすることが退職した従業員の再雇用に結びつくだけでなく、家族や友人に対しても良い企業イメージを持ってもらうきっかけとなる。

PeopleSoft社は退職者のために同窓会ネットワークプログラムを持っている。2004年にはビジネスネットワーキングを目的としたグループも設立され、LinkedINにも加入しているメンバーは1500名、Yahoo !グループは1,100名を超える。彼らは同窓会のウェブサイトにログオンをすることで、国内中の他の元PeopleSoft社員と交流することができるのである。

彼らの目線に立つ
従業員や求職者の目線に立ち、最新で革新的な方法で彼らと対話することで、彼らは企業との結びつきや理解をより感じることになる。Generation XやY、さらに求職者というのは、会社のロゴの入ったマグカップやストレスボールなどに興味を持っていない。これを認識しているJPモルガンのような企業は、求職者に$75,000あればどういったプログラムが欲しいか、投票できるURLまで用意している。
また他の企業は、報酬制、福利厚生、ライフワークバランス、ダイバーシティなどの企業文化的側面の重要性を強調し、求職者と従業員の両方に同様の価値体系を提供していることを示している。

 
こうした取り組みに精通している組織は、より創造的な段階へ手を伸ばし始めている。例えばErnst & Yongは求人情報を紙媒体に載せることを辞め、より複数のメディアで共有できるフラッシュドライブを導入している。採用面接はもはや志願者だけのためではなく、市場調査を行う上でのチャネルでもある。従業員の個人情報、目標や経歴、人との関わり方などのデータは、企業が似た価値観を持つ従業員を採用する上でのメッセー作りの手助けになり、従業員保持を企業が意識して行っていることを示すチャンスでもある。

技術革新によって企業は新たな採用方法、コミュニケーション機会が可能となった。MySpace、 Facebook、LinkedInのようなソーシャルネットワーキング(SNS)ツールや仮想空間Second Lifeにも企業情報や採用情報が載り始めている。


IBMのような企業では会社の同窓会をSecond Lifeを使用して仮想インターフェース上で交流できる仕組みを提供している。また、より静的なサイトであるMySpace、Facebook、LinkedInはネットワークを介して、深いコミュニケーションで結ばれている。企業によってはYouTubeに求職情報やトレーニングのビデオを投稿しているところもある。

2007年半ばにMySpaceのページビューは450億ビューを記録し、6400万人以上のユーザーがログインしている。こうしたSNSサイトは、コストをかけず簡単に膨大な数の候補者に接触できる方法として知られている。

エンゲージメントを高めるツール
トラデショナリスト世代やベビーブーマー世代の労働力は、退職と共に終わるわけではない。社員とのコミュニケーションの手段すべてを FacebookやYouTube、携帯メールに移行してしまうと、これらを使いこなせないベテラン世代から反感を買うことになる。定年を超えてもフルタイム、パートタイム、あるいはコンサルティング業務などでベテラン社員を保持するということは、彼らの才能を保持できているということなのである。


では、この"保持する"にはどうすればよいのだろうか?新規の人材募集やコミュニケーション機会はもちろん、企業は世代間の垣根をなくし、どの世代にとっても働きやすい環境作りをする必要がある。異なったコミュニケーションスタイルを持つ従業員とマネジャーとが定期的に交流する機会を促進することで、多様な顧客やベンダー、同僚との関係を作り出すことにも繋がるからだ。

仕事上のチームには、シニア世代、団塊の世代そしてジュニア世代のすべての世代がいることが理想である。経験豊かな従業員が会社に必要とされていると感じれば、公式(コンサルタントやパートタイム労働者として)であれ非公式(アドバイザーや専門家として)であれ、彼らは自分の持つ専門知識を共有したいと考えるであろう。

デビッド・シロタ氏ら研究者によれば、ここ数十年に亘り、従業員が動機付けられる理由には、影響や尊敬の他に公平感、達成感、連帯感があるといわれている。しかし仕事に対する考え方は、ライフステージやテクノロジーの発展に伴い変化している。現在、従業員は今まで以上に、キャリアを構築する上で、もしくは目的を達成する上でのオプションが増え、コミュニケーション方法も多様化してきている。それゆえに、企業にも同様にこうした変化を求めているのである。

企業が優秀な従業員を育成、保持するには、多世代に対して柔軟なコミュニケーション、人材の開発、そして人材の保持のためのツールを持つことが必要である。


GenerationY世代: 1977~2002年もしくは、1978年から1989年に生まれた世代(情報元によって異なる)。
特性:一点集中型で楽観的。干渉(監督)されることに慣れている。他と違うことに抵抗がない。 チームプレイヤー。

GenerationX世代: 1965~1981年に生まれた世代
特性:賢く、独立していて、起業家向きであるが、誤解されやすい。人生において統合的アプローチを求める。

ベビーブーマー世代:1946年~1964年に生まれた世代
特性:勤労な生存主義者であるがひねくれ者。オフィスに1番最初に到着をし、1番最後に帰るタイプ。"敬意"がもっとも重要だと考えている。

トラデショナリスト世代:1946年以前に生まれた世代
特性:チームプレイヤーであり忠実で礼儀正しい。既定方針や手順に従う。犠牲を払わない人に我慢できない。面と向かったコミュニケーションを好み、電子化されたコミュニケーションに頼ることをあまり望んでいない。


By Walt McFarland and Kate Morse
Walt McFarland is a vice president, human capital and learning pratice, and Kate Morse is a senior consultant, at global strategy and technology consulting firm Booz Allen Hamilton. - MWORLD Spring 2008

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※本文はAMA(日本)にて抄訳されたものです。