国際教育研修機関American Management Association (AMA) (本社ニューヨーク、 東京オフィス:東京都港区北青山、在日代表 福田俊夫)と調査会社P21(*1)は、このたび「クリティカルスキル調査」("AMA 2010 Critical Skills Survey") の結果を発表しました。米国AMAの会員や顧客企業向けに実施したこの調査は、2,115のマネジャーやエグゼクティブから回答を得て集計されたものです。
経済の停滞が底を打ち成長段階に入る上で、組織で働く者は、基本中の基本である「読み」「書き」「計算」("Reading ", "Writing", "Arithmetic"。3つの"R"と呼ばれる)の能力を備えただけでは不十分で、クリティカルシンキングや問題解決、コミュニケーション、コラボレーション&チームビルディング、クリエイティビティ&イノベーション("Critical thinking and problem solving"、"Communication"、"Collaboration and team building"、"Creativity and innovation")は、欠かせない能力であることが、調査によって裏付けされました。
この調査では、重要な4つのスキルを「4"C"」と名付け、以下のように定義しています。
【クリティカルシンキングと問題解決】 Critical thinking and problem solving
-- 意思決定、問題解決や適切なアクションを取るスキルを含みます。
【コミュニケーション】 Effective Communication
-- 文章や口頭で自身の考えを統合し伝える能力を示します。
【コラボレーション/チームビルディング】 Collaboration and team building
-- 他の人と効果的に協働する能力、多様な人材を含むグループや異なる意見を持つ人とともに協働できる能力を含みます。
【クリエイティビティ&イノベーション】 Creativity and innovation
-- そこにないものを発見し、作り出す能力を示します。
調査によれば、3/4(75.7%)の回答者は、これらの能力が向こう3年~5年今日の経済停滞から抜け出し、成長段階に入ってから特に必要な能力として考えられていることがわかりました(表1、2参照)。
これらの能力が重要である理由としては、91%が 「ビジネスの変化の速度」が"重要"もしくは"非常に重要"と回答し、「グローバル競争の激化(86.5%)、「今日の仕事のやり方に伴って」が77.5%と続きます。(表3参照)
これら能力の必要性が高まる中で、企業における人材はこれらの能力をどの程度備えていると考えられているのでしょうか?この調査では、コミュニケーション能力を自社の社員が「平均以上に備えている」と回答したエグゼクティブは38.1%、「平均並みである」との回答はそれを上回る51.4%でした。クリエイティビティ&イノベーション能力に関しては「平均以上」が37.4%に留まり、46.9%は「平均並みである」と考えられていることがわかりました。さらに、クリティカルシンキングやコラボレーション/チームビルディングについても、およそ半数は平均並みもしくはそれ以下であると回答しています。
調査では、企業側が期待する能力と実際に社員が備えている能力のギャップを埋めるために、企業が行っている取り組みについても調査し、1対1のコーチング、メンタリング、専門能力を向上するためのトレーニングなどに回答が集まりました。
「クリティカルに考えることで問題解決に繋げたり、イノベーションを起こすこと、より密なコミュニケーションや協働を計る能力は、ビジネスの現場で必要とされているレベルにまだ達しておらず、グローバル市場で競争するためには、これらをより向上する必要がある」と米国AMA CEOエド・ライリーは述べています。
今日のように多くの事象が複雑に絡み合い、ただ一つの"正解"を導くことが難しい世界の中で、組織が成長するためには、組織に属するひとりひとりが高い専門性をもってそれぞれに考え、行動のできることが求められるようになってきました。さらに、これからのビジネスでは、こうした専門能力の高い個人同士が、協働して高い成果を導きだすことが求められています。そのためには、個人が物事の本質を捉えそれを新たなビジネスに展開するための能力はもちろんのこと、協働する者同士での高いコミュニケーション力、さらにはチームとして活動し成果を出すことに力を注ぐ企業が増えてきています。本調査で取り上げた4つの"C"は、まさに、今日のビジネス競争や社会背景を投影した結果と言えます。これまでも業績評価や人材採用時に重点の置かれた能力ではあったものの、かつてない市場の変化に伴い、改めて見直され、注目されてきているものとAMAでは考えます。
調査に協力したP21(*1)のCEOケン・ケイ氏も同様、「これからの学校教育においても、4つの"C"能力に焦点を置くことは重要になるでしょう。」と述べています。今回の調査においては、より若い世代のほうが、熟練した社会人よりも容易に新しいアイディアを受け入れ、考えることに適していることから、新卒人材や学生の段階からこれらの能力向上に取り組むべきだとの意見に同意するエグゼクティブも多くおり、こうした結果は企業教育のみならず、今後の学校教育にも影響を及ぼしていくものと考えられます。
【補足資料】



