By DAVE AND WENDY ULRICH ----AMA抄訳
才能も重要だが、チームワークはもっと重要だ。不況以降、その重要性がますます高まっている。
優れた業績を上げるチームを作るためには、明確な目的と存在理由が必要となる。チームの目的は、いくつかの基準を満たす必要がある。まず、そのチームが存在する結果として得られる具体的で測定可能なアウトプット(成果)やサービス(役務)を伴っていること。組織全体を背景とした位置付けをそのチームに与え、チーム・メンバーを結束させ、チームの成果または目標(ゴール)を定義し、チームの存在が正当化できていること。「意味」を生み出すような優れたチームの目的は、水準が高い。なぜなら、そのような目的とは、容易に達成できない目標を設定することで未来に目を向け、「何ができるか」に焦点を合わせる必要があるからだ。また、そのような目的は顧客中心的でもある。単なるプロセスではなく、チームワークの成果を重視するのである。 リーダーは、上記の基準を満たすような形でチームの目的を策定する義務を負う。目的の作成をチーム・メンバーに分担させれば、メンバーの参加意識を高める手段となる。そのようにしても、リーダーが果敢に行動する妨げにはならず、むしろチームの目的を明確にすることにメンバーを関与させることで、リーダーはより大きな権限を獲得する。リーダーは言葉や象徴、メッセージ、行動を通じて目的を伝達する。そのように伝達することで、目的はチームのメンバーとサービスの利用者にとって現実的な存在になる。またリーダーは、チームの目標に向けた活動の進捗を追跡し、監視する。持続可能なチームの目的は、「何が成し遂げられるべきか」を明確にすることで知性を納得させるだけでなく、チーム・メンバーがチームワークから意味を引き出せるようにすることで感情にも訴える。 ガバナンス
私たちの観察によると、チームは、ときには厳格な意思決定よりもアクション・プランニングの方を重視していることがある。上記の5つの意思決定ガイドラインに従うと、チームは物事を成し遂げる能力を高めることができる。 健全な関係
学習 いかなるチームにも、うまく行くこととうまく行かないことがある。意味を根付かせ、成長させるためには、チームは次のような形で学習に取り組む必要がある。 学習とは、チームの自己改善プロセスを通常業務の中に組み込むことである。 結論
日常生活の楽しみの多くは、その楽しみを他者と共有し合うことを通じて得られる。それでも、他人と一緒にやっていくことの困難さは、人とつながるための最新テクノロジーすべてをもってしても、決して無くなりはしない。それどころか、電子メール、ツイッター、Webベースの掲示板、ブログなどの匿名性は、有意義な人間関係の形成と維持に必要不可欠な「人間的な接触」を減少させることが多い。グローバリゼーションと雇用の機会均等の取り組みによって、私たちは、文化、経歴、物事に向かう態度(構え)、人種、ライフステージがさまざまに異なる人々と一緒に働く機会がますます増えている。仕事の複雑さも増大しているため、新しい製品を開発し、期待される幅広いサービスを提供するためには、多様な職業訓練を受けた人々どうしが協力し合う必要が生じている。明らかに、あるいは少しだけ自分と異なる人々と上手に付き合うためには、スキル、忍耐、自己認識、好奇心、共感が必要となる。さらに、上手な付き合いは周囲に伝染する。上記のような目的、ガバナンス、健全な関係、そして学習に関するガイドラインに従うことは、チームの成果達成能力を向上させる。以上のようなチーム・プロセスが適切に管理されていれば、メンバーはお互いの交流の中からチームワークの意味を見出していくのである。
知識が(インターネット上の情報量で測定して)4年ごとに倍増する世界。変化のペースがますます加速する世界。グローバルの複雑さが競争のルールを変化させる世界。そんな世界では、自分だけで何かを成し遂げる能力を持っている人は一人もいない。変化と複雑さが支配する世界の中で組織を持続的に維持していくためには、個人の能力を互いに結び付け、組織の能力へと変貌させなければならない。才能はチームワークを必要とするのである。
著書『The Why of Work』の中で、私たちは、高い業績を挙げているチームはメンバーがお互いに高い関係性を持っているチームであるという定義した。高い関係性を持つチームとは、所属チームの経験の中に個人的な意義を見出すようなメンバーから構成されるチームである。自分が所属するチームに意味を見出す従業員は、チームに対して感情的・心理的な関わりを持つので、個人とチームの生産性が高まる。チームとの関係を通じて意義を見出す行為は、4つのチーム・プロセスの中に織り込むことができる。すなわち、目的、ガバナンス、健全な関係、学習の4つである。
目的
ガバナンスは、チームがどのように活動するかを表し、役割、意思決定、支援システムから成り立つ。このような日常的な管理業務によって、メンバーが所属チームの活動に対処する「意味」が形成されていく。役割は、チームに誰が所属しているかを表す。また、そこにはさまざまエキスパートがいる必要がある。たとえば、各特殊分野の専門知識を備えた技術的なエキスパート、知識を顧客の要求に適応させる顧客エキスパート、業務を調整し、納期を設定し、チームの活動を処理する管理のエキスパートなどである。
チームの機能は、チームが行う意思決定を通じて果たされる。適切な意思決定を増やすためには、明確さ、結果責任(アカウンタビリティ)、スケジュール、プロセス、フォローアップが必要である。以下は、私たちが『チーム意思決定プロトコル』と名づけた手順を特徴付ける質問である。
「...電子メール、ツイッター、Webベースの掲示板、ブログなどにおける匿名性は、有意義な人間関係の形成と維持に必要不可欠な『人間的な接触』を減少させることが多い。」
チーム支援システムは、報酬、チーム・ミーティングの諸手配、管理上の支援などの仕事を処理する。このような支援の仕組みが確立されていると、チームは、支援システムがない場合よりも高い成果を上げることができる。
ガバナンスを管理するチーム・リーダーは、多数の役割がチーム・メンバー同士で遂行されるように、また、適切なプロセスに従って意思決定が行われるように、さらに、支援システムがチームの使命との一貫性を維持できるように取り計らう必要がある。
チームが意味を生み出し、長く存続するためには、チーム内における健全な関係が必要である。私たちは、望ましいチームの関係において、「配慮」と「葛藤」という2つの事象を明らかにした。配慮とはチーム・メンバーが指図や提案によって互いに働きかけ、また償いをすることを意味する。働きかけとは、互いに関わり合おうとする個人の意欲を表す。そのような働きかけは、個人的な質問(たとえば、「調子はどう?」など)として現れることや、仕事以外の個人的な関心に気付くこと、互いの相違点を尊重すること、相手の言い分に率直に耳を傾けること、良い仕事に対して感謝の念を示すこと、チーム・メンバー間に信頼関係を築くことなどの形で示されることもある。また、償うとは、チーム・メンバーが自分のミスを認め、互いに謝罪し合い、過去の不満や腹立ちを忘れることを意味する。正直な謝罪により、物事に対する「構え」の異なる者同士が協力し合うことが可能となる。
配慮の反対側に位置するのが、対立や葛藤を適切に処理する能力である。チームが成果を上げるのは、物の見方が異なる人々が共通の利益のために団結するからである。つまり、不愉快にならずに意見を戦わせる能力、争いを起こさずに緊張を維持する能力、あるいは、相手を侮辱せずに論争する能力が、健全なチーム関係を示す指標である。そのためには、チーム・メンバーは問題から逃げるのではなく問題の中に飛び込んでいくこと、率直で忌憚のない意見を出し合うこと、そしてチーム目標のために個人的な利益を犠牲にすることが必要となる。チームは批判、侮蔑、保身、進捗妨害という、心理学の用語で言えば「関係破壊要因」(リレーションシップ・キラー)を避けるべきである。
リーダーは、配慮と葛藤の両方を方向付ける。リーダーは、誰がチームとのつながりが強いか(あるいは弱いか)を敏感に察知し、つながりが弱いメンバーをチームに引き込むように働きかける。チームの時間の一部を適切に利用し、メンバー個人の称賛や支援に充てる。また、個人的な恨みを伴わない討論と対話のあり方の模範を示す。
リーダーは、自分自身が学習者となる必要がある。そのためには、好奇心を行動で表し、人の意見に率直に耳を傾け、必要なときは謝罪し、ミスの結果責任を引き受け、成功の名声を分け合い、リスクを厭わない行動と創造性を奨励し、定期的な学習監査を実施してそこでチームが過去の経験を消化できるようにする必要がある。
Dave Ulrichは、ミシガン大学ロス・ビジネス・スクールの経営学教授であり、The RBL Groupの共同創立者である。Wendy Ulrich博士は、ミシガンで20年間以上、精神科医として開業していた。現在は、ユタ州のSixteen Stones Center for Growthの創立者として、セミナーや精神修養研修を提供している。Dave UlrichとWendy Ulrichは、『The Why of Work: How Great Leaders Build Abundant Organizations That Win』の共著者である。
※M World の記事内容・コンセプトは、必ずしもAMAが提供する研修プログラムの内容とは必ずしも一致しません。