さる11月1日~3日の3日間。韓国ソウルで開催されたGlobal HR Forum 2011に参加しました。
Global HR Forumは、2006年以来毎年開催されている韓国内最大のHRイベントです。
ここでは、イベントを通して感じられた韓国の人材育成動向について、報告します。
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ご存知ない方に向けて、まず簡単にこのイベントをご紹介します。
Global HR Forumの特徴は、韓国の産・学・官が共同で主催、実施しているイベントである、という点だと思います。
民間企業代表としてKorea Economic Daily、教育・研究機関代表としてKorea Research Institute for Vocational Education and Training、そして官公庁・国を代表してKorean Ministry of Education, Science and Technologyの3組織が協力をして主催しています。そして、主催者側以外に50社以上もの韓国の著名な企業や団体がスポンサーとして参加しています。
2011年パートナー・スポンサーをご覧になるにはこちら
2011年開催プログラムをご覧になるにはこちら
今回のイベントの様子(主として写真)はフォーラムのFacebookページ http://www.facebook.com/GHRForum で見ることができます。テキストは残念ながら韓国語ですが、ページトップの写真集から当日の様子をご覧いただけます。


(写真左上):開催日前日には、講演者や企画側が集まったディナーイベントがありました。主催者からのあいさつの他、HRイベントには珍しく(?!)ミュージシャンを招いて数曲歌う、というレクリエーションまで。
(写真右上):会場入り口には氷像で作成された「2011 HR FORUM」のオブジェ。なぜに氷?!? 主催者の気合?が伝わってきました。
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韓国の熾烈な受験戦争の話題は日本のメディア等でも時々見ることがありますが、今回のイベント参加を通して、韓国の人たちが(学生を含め)いかに人材の育成に熱心に取り組んでいるか、それが伝わってきたように思います。
今年、このイベントへの参加者人数は延べ約6,500名。
会場を全体的に見渡してみると、講演者の内訳(おおよそ)は、60~65%が韓国人、35~40%が世界から。さらに参加者の内訳をみると、90%は韓国人、外国人は10%を切る程度という印象です。
参加者の中でとりわけ目に付いたのは若い学生風の方たち。自身の"キャリアディベロップメント"は社会人になってからでなく、学生の頃から大きな課題として意識されているようです。
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基調講演をはじめとする数々の講演から、"優秀な人材をいかに育成するか" という課題に対して韓国が国を挙げて取り組んでいる様子が強く伝わってきました。
日本の統治下から逃れた1945年以来、韓国国民は貧困を逃れる唯一の手段として「教育」を最重要視してきたといいます。そして、
(知識)x(クリエイティブ)x(情熱)+(働き者) =韓国が目指す人材
こんな数式が当てはまるような努力を重ねた結果、世界第10位の経済大国にまで成長した、という強い自負が、彼らの話から伝わってきます。同時に、この成長の時代には、海外へ留学経験のある人材が中心となり、韓国の経済成長を支えたといいます。このような経験からも、国内という枠の中ではなく、海外など開かれた環境で学ぶことの"有益さ"が、強く認識されているように感じました。
ますますグローバル化が加速する今日、"国をあげて"以下の能力の強化を図りたいと話していたのは韓国教育省の大臣の方です。
◎ 自律した人材
◎ 問題解決能力に強い人材
◎ 創造性とコミュニケーション力に長ける人材
さらに、こうした有能な人材を育成するために、産・官・学・そして社会のすべての側面から、人材育成のために環境を整えていく、というスタンスでメッセージを発信する国の姿勢が非常に強く伝わってきました。
■優秀な人材育成のために、4つの側面からの環境づくり
1. 学校の教育システム(インフラ含む)
2. 家族の存在
3. 企業がLife long learningが叶う組織 (生涯学習を振興する)であること
4. 地域社会生活の保障 (健康や安全)
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講演テーマには、MBA教育に関連する内容も多くみられました。
1997年に韓国が直面したアジア通貨危機は、韓国企業が根本から変わる大きなきっかけとなったと言います。そして、グローバルルールのもとでビジネスができるようになる必要性を国全体が痛感し、以来、MBAの取得は企業へ入社するためのひとつの切り札として考えられてきました。ところが、昨今はその傾向が停滞気味になります。今、韓国のMBAスクールでは、提供する内容の「質の向上」が強く求められているのだそうです。
単に"英語で知識を学ぶ場"となりつつあるMBA教育から脱却し、コースを通して、グローバルな視野を学べる場を作り上げること、さらには学んだ内容を実際のビジネスに結び付けられることなど、市場との関連性が強く求められるようになってきているようです。
一方、海外で学ぶ韓国人はといえば、今や韓国から留学する学生の数は世界第2位に上ります。「生徒数の20%を韓国人が占めている」と話すアメリカのMBAスクールでは、アジア地域からの留学生の増加に伴い、学生を確保する様々な施策を実施しているそうです。米国のMBAスクールがアジアにキャンパスを開設したり、オンラインで受けられる授業を充実化したり、履修期間を短縮する、などといった新しいトレンドも、アジア地域の学生の囲い込み作戦の1つだといいます。この業界の活発な動きを感じることができました。
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個人としての組織への依存度が下がり、かつての日本と同様に一度就職したら一社において勤めあげることが普通のことと考えられていた韓国でも、最近はその傾向が変わってきているそうです。
「個人の力があっての組織力」、「自分自身を見つめ直すキャリアディベロップメント」、「自己実現」、「自分自身の道筋」などなど、こういった意味合いの言葉は、非常によく耳にしました。
「自己の独自性を尊重しつつ、よりグローバルな視野をもって活躍できる人材へと成長すること。」
人材の目指す方向性は、日本と非常に近いと感じます。
これからの市場で必要とされる韓国人人材に求められる要素として、以下の点をあげている講演者もいました。これを熱心にメモをする学生の姿も印象的です。
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非常に興味深かった講演を1つをご紹介したいと思います。
"Korean Wave and Education Brand" という講演の中で聞いた、元文部科学大臣の方の話です。
日本でもすっかり有名になった「韓流(Korean Wave)」。
今や韓流ブームはアジアだけでなく、ヨーロッパやアメリカにも広がり、世界中に大きな市場を作りだしているのだといいます。日本と同様、自国資源が少ない韓国では、世界を相手に輸出できる産業をいかにして作り上げるか、長い間の課題でした。そんな中で生まれた「韓流」は、三千年の長い歴史を持つ中国と、日本を経由して入ってきた欧米文化("日本を経由して"という枕詞に苦笑いですが)を掛け合わせた「ハイブリッド型」文化であり、このハイブリッド型にさらに「独自性」を加えることによって、世界に受け入れられる韓国の"産業"へと成りえたのだ、という見解です。そしてこの考え方を人材育成の視点に移して考えると、グローバル化が進み、人材もグローバルになることが求められる中で、グローバル化(=ハイブリッド化)は当然必要である一方で、ローカル(=独自性)も持ち合わせたバランスの良い人材となることが重要であり、それによって世界で普遍的な存在になり得るのだ、とのご意見でした。
この講演が私にとって印象的だった理由としては、元文部科学省大臣とはいえ非常に真面目な顔をした年配の男性の方が、興奮した語調で(韓国語だったので本意はわかりませんが)「韓流」の話をしていたという事実です。そしてさらに、"人材の育成"というテーマに対するたとえ話に「韓流」が出てきたことです。私には非常に興味深い視点でした。
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韓国という国の将来を考えた時、彼らは今、日本にも共通する多くの課題を抱えています。
出生率の低下と高齢化、グローバル化による文化の多様化、そして情報知識社会への急速な変化など、日本も同様に持つ課題です。
さらに韓国の場合は、国土も人口も、ひいては経済規模においても、日本や欧米、中国と比べると小さいのが現実です。
例でいえば、韓国はGDPの3.6%を研究開発に使用しています。米国は2.8%、中国は1.5%、日本は3.4%という数値です。この比較でみれば一見多いように思えても、総額に換算すれば中国は韓国の2.5倍、日本は5.7倍、米国ににおいては13.4倍なのです。
だからこそ韓国は、母数が絶対的に少ない人材の"質"にこだわり、より質の高い人材を一人でも多く育成することに強い課題意識を持っているのです。
近年の韓国グローバル企業の大飛躍。この背景には、講演の端々で垣間見ることのできた韓国の人々の強く、前向きな国民性が大きく関わっているに違いないと感じた訪問でした。
彼らの姿勢を真摯に見つめ、良き刺激として受け止め、私たちも動き出す必要があるのではないでしょうか。
(AMAマーケティング担当記)