本質を捉える

本質を捉える

お客様が求めていることを社員が的確に捉えられるかどうかということは、当然ながら、どの会社にとっても非常に重要なことです。 弊社のようにコンサルティング事業に携わっている会社にとっては、特に大きなカギを握ります。

日頃からコンサルタントに対しては、「お客様の言葉尻だけを掴んで話をするのではなくてその背景と本質を良く考えることが大切」と伝えているのですが、これが簡単のようで、なかなか難しいものです。
相手が伝えようとしている点を的確に捉えることはもちろん、自分自身の話す考えや真意が伝わらない(伝わっていない)と感じることが、今でも時々あるからです。

相手の言うことを的確に“捉える”こと、そして自分自身が言いたいことを的確に“伝える”こと。 これらはつまり、「物事の本質を捉える能力」があるかどうかということで、この「本質を捉える能力」の重要性と難しさを、昨年は改めて強く感じた一年でした。

米国AMAが昨年年頭に実施したグローバル人材育成をテーマとした調査結果でも、企業がグローバル人材の育成のためにもっとも多く導入しているプログラムは「クリティカルシンキング&問題解決」(回答者の61.6%が実施していると回答)でした。

昨年、弊社でもクリティカルシンキングに関連したイベントを開催しましたが、非常に多くの反響と、企業としてのニーズがあること聞きました。2011年も引き続き、その傾向は続くと私は考えています。


私たちは様々な場面で「本質を捉えること」を求められている

時代は成熟市場期に入ったと言われています。
世界の消費者需要は、高付加価値商品からソリューション商品の提供へと変わりつつあります。

成熟市場では、人は社会あるいは生活の中で本当に必要なものにしかお金をかけなくなると言われています。その結果、よりシンプルな物への回帰であったり、社会にある問題(課題)を解決できる物や活動を求めるようになります。電気自動車(温暖化)しかり、ipad(簡素化)しかり。
かつてピータードラッカーが言っていたように、企業は社会の問題を解決するために存在し、利益のみを追求する企業はやがて限界を迎えるだろうということを物語る現象のひとつではないでしょうか?

こうした市場に対応できるように、製品やサービスを提供する側の私たちは、今までにも増して顧客目線で考えることが必要です。人(消費者)が行動を起こす先には必ず目的があり、その目的を達成するために本当に必要なことは何なのか?常に考えることが大切になります。
余計なものをそぎ落とし、よりシンプルに、かつ的確に「見つけだす力」を養うことによって、顧客のニーズや世の中の流れが見えてくるのではないかと思うのです。
こうした点においても、“本質を捉える力”は大きな鍵を握ります。


“本質を捉える力”の必要性は、研修の傾向からも見ることができます。
たとえば、これまでは傾聴スキル(インプット)やプレゼンテーションスキル(アウトプット)のように、スキル習得を中心に学ぶプログラムに人気がありました。ところが最近では、そもそも本質を捉える力がなければインプットもアウトプットも間違った方向に行きかねず、それゆえ特に深部にある筋肉をしっかり鍛えていく必要があるという点で、クリティカルシンキング、ロジカルシンキング、ストラテジックシンキングといった思考系の需要が高まってきています。

また、昨年は多くの企業でグローバル市場への対応策が話題になりました。
グローバル展開する上で必要な人材の能力は、その企業のステージや狙う方向に因っても様々です。自社が目指す方向がどこに向かい、なぜそうなのか?自社の強みを生かして勝負すべきところはどこなのか?だからこそ必要なことは何か?など、課題の奥にある“本質”を捉えたことによって、当初想定していた対応策と異なる方向が見えてきた、そのように話す多くの企業担当者とも情報交換させていただきました。


ところで、“本質”といえば、最近このようなことをよく考えます。

人が持っている“本質”の中には、「移動」という大きなキーワードが隠れているのではないか?と。資源を求め、移動し続けてきた人類の歴史を見てもそのヒントが得られるように、「移動」を切り口に考えてみると、もしかすると次に求められる物やサービスが何であるのかが、見えてくるのではないでしょうか?

車、ウォークマン、インターネット、携帯電話、ipadといった、それぞれの時代を代表するヒット商品を振り返ると、すべてが「移動」をキーワードにヒットしてきたものばかりだと気づきます。最近、話題に上る格安航空市場の伸長なども「移動」に関連していますね。

世の中の事象を単なる出来事として受け止めるのではなく、その本質を掘り下げていくと、これまで見えてこなかった部分が浮かび上がってきます。
こうした意味でもやはり、今年も引き続きこの「本質を捉える」能力が私たちのビジネスにおいて重要なカギを握ってくるように思えてならないのですが、皆さん、いかが思われるでしょうか?

 

 

 

(文=AMA)

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PROFILE

福田俊夫

アメリカン マネジメント アソシエーション インターナショナル
在日代表

英国レディング大学留学を経て1991年株式会社マネジメントサービスセンター入社、グローバルプロジェクトチーム リーダーとして米国パートナー のディベロップメント ディメンションズ インターナショナル(DDI)と連携しグローバルアカウント企業を担当。
2002年アメリカン マネジメント アソシエーション インターナショナル入社。海外プロジェクトを担当。営業部長、副代表を歴任し、経営者および次世代リーダーのためのエグゼクティブコーチング、グローバルリーダー育成、女性ビジネスリーダー育成事業を立ち上げる。2007年より在日代表。